ジェットブルーとエアリンガス、戦略的提携へ

ジェットブルーとエアリンガス、戦略的提携へ

　ブリュッセル（ウォール・ストリート・ジャーナル）米格安航空大手ジェットブルー（Nasdaq:JBLU）とアイルランドの同業エアリンガス（EIL1.DB）は１日、戦略的パートナーシップを発表する予定だ。旅客を増やすことを狙ったものだが、両社のビジネスモデルの限界を試すものになりそうだ。

　実現すれば、ジェットブルーのハブ（拠点）であるニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港を経由し、全米40以上の都市とアイルランドとを結ぶ航空便が４月３日から一括予約できるようになる。

　格安航空会社は通常、同業他社とは協力しないため両社の提携は異例。一方、従来型の航空会社は旅客の呼び込みを狙い、路線を増やすためこうした提携をよく利用する。だが、「コードシェアリング」（共同運航）を通じたネットワーク接続や航空券の売上高の分配は複雑であり、管理コストがかさむ可能性もある。

　ジェットブルーとエアリンガスは、今回の提携はウェブサイトの連携が中心になるためコストや管理の問題は回避されるとした。

　ジェットブルーのデビッド・バーガー最高経営責任者（CEO）は「まったく新しいものだ。２つの航空会社のシステムを結びつける」と語った。また、提携によって他の海外航空会社との協力への道筋が開けると期待している、と述べた。

　エアリンガスのコーポレート・アフェアーズ担当ディレクター、エンダ・コルネイユ氏は、両社は他社のような高度な座席予約システムではなく、ウェブに基づく単純なシステムを通じて予約の大半を処理しているため、２社を結びつけるのは簡単だと語った。また、これまで業界で行われてきたように新料金を設定する代わりに、別々に予約することもできる２枚の航空券の価格を単純に合算するシステムを採用する計画とした。

　その上で「計算はたやすい」と語り、両社は提携によって売り上げの増加を見込んでいるものの「数字は出していない」とした。

　2000年就航のジェットブルーにとって今回のパートナーシップは、その米国内ネットワークを利用し、海外からより多くの旅客を獲得するほか、米国内の顧客にアイルランドへのサービスを提供する機会をもたらす。同社は旅客数ベースで米航空業界８位。米国とカリブ海地域の53都市に１日550便を運航している。

　一方、ダブリンに本拠を置くエアリンガスは、現在７路線で独自展開する米国サービスを大幅に拡大する方法としてこの提携をとらえている。かつては小回りの利かない政府系航空会社だった同社は、2000年代に入って低コスト・低価格エアラインへの変身を遂げ、大量に結んでいた他社とのマーケティング契約から自由になり、06年に上場を果たした。

　欧州のルフトハンザ・ドイツ航空（LHA.XE）は12月、ジェットブルーの株式19％を取得する計画を明らかにするとともに、民間航空会社との関係を発展させる方法を検討している、としていた。バーガーCEOは、ルフトハンザが両社の提携計画について通知を受けているとした上で、アイルランドとの連携によって今後のジェットブルーとルフトハンザの事業協力が損なわれるとは思われない、との見方を示した。

　新サービスではエアリンガスのウェブサイトに設けられた予約ツールを利用する。ジェットブルーのサイトはこのサイトとリンクする。ダブリンから、例えばニューヨークを経由してフロリダ州フォートローダーデールまでの航空券を１回の支払いだけで購入できるようになる。両社は将来、ジェットブルーのカリブ海地域への運航サービスやエアリンガスの欧州便も対象に加えたい考え。

　ジェットブルーの国内便に乗り継ぐ旅客は、エアリンガスに乗ってニューヨークまで飛び、税関を通過し、到着ロビーにあるエアリンガスの乗り継ぎデスクに荷物を預け、ジェットブルーのターミナルまで無料の送迎列車を利用できる。すでに欧州からのジェットブルーの旅客の多くがこの方法を利用しているが、別々の手続きを踏む必要があった。

　ジェットブルーによると、同社はケネディ国際空港への運航を行う「数十の」海外航空会社との間で、その国内ネットワークを利用する機会について話し合った。バーガーCEOは、エアリンガスとの提携を決めた理由について、低価格の片道料金を提供するという理念が共通しているほか、欧州の格安航空会社で米国への定期便を運航しているのが同社だけだったことを挙げた。

日本経済新聞 - 2008年2月1日




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